食事と健康

【獣医執筆】犬に小松菜は与えてもOK!尿路結石や腎臓病への影響も解説!

こんどうなつき

資格:獣医師/ペット栄養管理士

難病を抱えながらもベットに寝ながら働く獣医さん。酪農大学獣医学部卒業後、動物病院や保健所での勤務を経験。現在は、飼い主さんからペットの相談を受けるカウンセラーとして働きながら、Youtubeで犬猫のごはんと健康に関する情報を発信中!

緑黄色野菜である小松菜は栄養たっぷりの野菜なので、ワンちゃんのごはんのトッピングとして、おすすめの野菜の一つです。

しかし、腎臓病のワンちゃんの飼い主さんからは、ミネラルを心配する声も聞かれます。また、ほうれん草と形が似ていることから、シュウ酸など結石への影響が心配という飼い主さんもいます。

そこで、今回は、栄養面から犬に小松菜を与えるメリットについてお話した後に、持病を抱えるワンちゃんに小松菜を与えて良いかについても病気ごとに解説していきます。

栄養素の吸収をアップさせる方法についてもご紹介していきますので、是非最後までご覧ください。

犬に小松菜を与えるメリット

小松菜に多く含まれる栄養素について取り上げながら、その栄養を摂取することで、ワンちゃんの体にどんなメリットがあるのかご紹介します。

 

β-カロテンで粘膜の健康を維持

小松菜は、β-カロテンを豊富に含んでいます。

体内でビタミンAに変換されるβ-カロテンを沢山摂ることは、粘膜を健康に保つのに役立ちます。

粘膜の健康維持は、病原体の侵入を防ぎ、免疫力アップにも繋がります。

ビタミンAは、脂質と一緒に摂ることで吸収率が高まります。

小松菜を与えるときは、肉と一緒にフードにトッピングするのが良いでしょう。

 

鉄分で疲労回復

鉄は、体中に酸素を届けるために大切なミネラルであり、貧血予防や疲労回復に役立ちます。

小松菜は鉄を豊富に含んでいますが、植物性の食材に含まれるのは、吸収率の悪い非ヘム鉄です。

しかしながら、小松菜に含まれるビタミンCを同時に摂取することで、吸収率を高めることが出来ます。

また、動物性の食材に含まれるヘム鉄と一緒に摂取することで、更に吸収率が高まると言われています。

小松菜と肉や魚などを一緒に食べることは、栄養吸収の意味で最高の組み合わせと言えるでしょう。

 

カルシウムでイライラを防止

カルシウムは、歯や骨を形成するミネラルですが、神経や脳の機能にも関与していると言われており、不足すると攻撃性が高まることが知られています。

小松菜は、カルシウムの含有量が多いものの、鉄分と同様、植物中のカルシウムは、吸収効率が悪く、牛乳からのカルシウム吸収の5分の1程度と言われています。

ビタミンDを含む食材と一緒に摂取すると吸収効率が良くなるため、肉や魚などの動物性タンパク質と一緒に摂るのがおすすめです。

 

シュウ酸には少し注意が必要

ほうれん草と形が似ているため、シュウ酸について心配という飼い主さんもいます。

小松菜は、シュウ酸の含有量が少なく、健康な犬であれば、トッピング程度の小松菜結が体に影響することはありません。

ほうれん草も大量に摂らなければ、シュウ酸含有量は問題ないと言われていますが、ゆで汁は避けた方が安心とされています。

ただし、この後説明しますが、既にシュウ酸カルシウム結石があるワンちゃんの場合には注意が必要となります。

 

小松菜の与え方

動物性タンパク質と合わせることで、栄養をたっぷり吸収できる小松菜ですが、どのように与えるのが良いのでしょうか?

目安量や調理の仕方、持病を持つワンちゃんへの注意点などをご紹介します。

 

目安量

主食のドッグフード以外のものを与えるときには、食事全体のカロリーの1~2割程度が良いとお伝えすることが多いです。

小松菜は、低カロリーの野菜で、1茎(約50g)6kcal程度ですので、カロリーで考えると沢山与えても良いということになってしまいますが、量が多過ぎると下痢をしてしまうことがあるので注意してください。

食物繊維が多く、カロリーが低い野菜は、食事のカロリーではなく、量(g)を目安に考えるのが良いでしょう。

はじめて与えるときには、食事量の1割程度を目安として与えてあげてください。

 

カロリーの計算方法はこちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

参考子犬・成犬・シニア犬の適切な餌の量は?給与量の計算方法を獣医が解説

うちの子のごはんの量、どれくらいが適量かご存知ですか? 「何となくドッグフードの袋に書いてある通りにあげている」 という方も多いのではないでしょうか? 今回は、うちの子に合ったフードの適量を知る方法を ...

続きを見る

 

調理方法

今までお伝えしてきた通り、小松菜は、肉や魚などの動物性タンパク質と一緒に摂取することで栄養効率が格段にアップします。

少量のごま油で炒めると香ばしい香りでワンちゃんの食いつきが良くなります。

また、肉・魚と一緒にスープにするのもおすすめです。

小松菜は、アクが少ないため、生でも与えることができますが、生の野菜は火を通したものに比べ消化しにくいため、細かくみじん切りにして与えましょう。

 

小松菜などの野菜を与える際に栄養バランスが気になりませんか?

そんなときは、トッピングに栄養バランスの整った手作りごはんを与えるのもおすすめです!

今話題の手作りごはん「フレッシュフード」についてはこちらの記事でまとめていますので是非参考にしてください。

参考【獣医が選ぶ】犬におすすめの手作りごはん-フレッシュフード-7選!

日経トレンディの「2022年ヒット予測ベスト30」に堂々の18位に選ばれ、注目を集めているフレッシュフード! 2023年1月にはココグルメさんがテレビCMをするなど、ますます利用される方が増えそうです ...

続きを見る

 

小松菜と持病について

尿路結石

先ほどシュウ酸については、特に心配する必要はないとお伝えしましたが、既にシュウ酸カルシウム結石があると診断されているワンちゃんは、注意が必要です。

シュウ酸カルシウム結石を形成する要素として、「シュウ酸」「カルシウム」「ビタミンC」「ビタミンD」などがあります。

小松菜は、これらの栄養素のうち、「カルシウム」「ビタミンC」を多く含む食材です。

健康なワンちゃんであれば、トッピング程度の摂取が問題となることはありませんが、既に結石ができてしまっている場合には、悪化の恐れがあります。

たまに少量トッピングする程度であれば、ほとんど影響はありませんが、日常的に小松菜を与えるのはやめましょう。

市販のフレッシュフードに原材料の一つとして、小松菜が含まれていることがありますが、そうした場合には、トータルで栄養バランスが整っているため、食べさせて問題ありません。

 

腎臓病

腎臓病の犬で制限すべき栄養素としては、タンパク質、リン、ナトリウムなどが挙げられます。また、場合によっては、カリウムも制限すべき栄養素になります。

小松菜に含まれるこれらの栄養素は、ごく微量であり、トッピング程度であれば、問題ありません。

ワンちゃんが好んで小松菜を食べるようであれば、与えて構いません。

 

まとめ

小松菜は、動物性タンパク質と合わせることで、栄養素を沢山摂ることの出来る食材です。

味の面でも、肉・魚と相性がよく、ワンちゃんが良く食べてくれることが多いです。

是非、トッピングメニューの一つに加えてみてください。

Youtubeもやってます!

  • この記事を書いた人

こんどうなつき

資格:獣医師/ペット栄養管理士

難病を抱えながらもベットに寝ながら働く獣医さん。酪農大学獣医学部卒業後、動物病院や保健所での勤務を経験。現在は、飼い主さんからペットの相談を受けるカウンセラーとして働きながら、Youtubeで犬猫のごはんと健康に関する情報を発信中!

-食事と健康