食事と健康

【動画付き】愛犬がうんちをしない原因は〇〇!便秘の解消法を獣医が解説!

こんどうなつき

資格:獣医師/ペット栄養管理士

難病を抱えながらもベットに寝ながら働く獣医さん。酪農大学獣医学部卒業後、動物病院や保健所での勤務を経験。現在は、飼い主さんからペットの相談を受けるカウンセラーとして働きながら、Youtubeで犬猫のごはんと健康に関する情報を発信中!

「うちの子は、毎日うんち出ているし、関係ないか」って思っていませんか?

実は毎日便が出ているわんちゃんでも便秘になってしまっている可能性があります!

今回は「こういうウンチだと便秘だよ」という便秘の定義と便秘の原因・解消方法についてお話します。

 便秘というのは、腸の病気などを除いて命にかかわるものではありませんが、毎日の生活の質に大きくかかわってきます。人間もそうですが、お腹がすっきりしない状態ってなんかやる気が出ないし、イライラしてしまうこともありますよね。

わんちゃんでも同じで、便秘でストレスが溜まってしまって気性が荒くなってしまうこともあります。便秘が解消されれば毎日の生活の質が上がってわんちゃんが快適に暮らせるようになると思いますので、是非最後までご覧ください。

Youtubeでも便秘解消法について説明しているのでぜひご覧ください。
犬の便秘!解消法を獣医が解説!

犬の便秘とは?

犬の便秘に具体的な基準はない

飼い主さんから「何日以上出ないと便秘ってことになるのでしょうか?」と相談されることがあります。

実は便秘というのは曖昧で、教科書的にも「数日間排便がない」「便がなかなか出ない」状態としか書いていません。

そのため、そのわんちゃんの排便の頻度とか便の状態によって変わって便秘なのかどうなのかは変わってきます。

うんちの回数の目安は?

排便の1日あたりの目安としては、だいたい1~3回くらいが多いです。

ただし、明確な基準があるわけではなく、健康的なうんちをしているようであればまったく問題ありません。

便秘の基準としては、いつもに比べてうんちが少ないかどうかが基準になります。

すこし出にくいわんちゃんを考慮しても、経験上、だいたい丸3日うんちが出なければ便秘だと考えて良いでしょう。

 

要注意なコロコロうんち

毎日うんちが出ていても

・踏ん張っても出ない、出しづらそうにしている
・便が石のようにカチカチ(または、水分がなくパサパサ)
・ウサギのうんちのようにコロコロした便を一日に数回する

などの状態は便秘のサインかもしれません。

大腸にうんちが長くとどまってしまうと、乾燥したコロコロうんちが出てくる傾向があります。

ポイント

・具体的な基準はなし
・経験的に丸3日以上でなければ便秘と考えてよい
・コロコロうんちは実は便秘かも

 

犬の便秘の原因は?

便秘の原因は、運動や食生活が関わっていることが多いです。

具体的には

・食べ物による影響や水分不足
・運動不足
・自律神経の乱れ
・加齢による筋力不足

といった原因が考えられます。

 

動物病院に連れていくべき症状は

うんちがまったくでない状態が3日間続くようであれば、動物病院に早めに相談しましょう。

また、便秘以外にも以下のような症状がみられる場合には要注意です。

・ぐったりしていて元気がない
・吐き戻しがある
・苦しそうにしている
・食欲が落ちている

早めに早めに受診するようにしましょう。

 

犬の便秘の予防と解消法

Youtubeでも便秘解消法について説明しているのでぜひご覧ください。
犬の便秘!解消法を獣医が解説!

水分を多く摂る

水分摂取量が少ないと便の水分も少なくなり、どうしても便秘がちとなります。

水分摂取量の目安として、1日に食べている食事のカロリーが300kcalであれば、だいたい300mlくらいが水分摂取量の目安です。

しかし、食事で摂取する水分や代謝によって身体で作られる水分も含みますので、実際に飲み水で摂るお水の量はもう少し少なくなります。

ドライフードの場合
体重1kgあたり30〜40ml(例:体重5kgなら150〜200ml)のお水を摂取すれば問題はないかと思います。

ウェットフードの場合
8割くらいが水分なので、食べているウェットフードの量に0.8かけて、残りをお水で摂れば良いということになります。

お水の飲ませすぎは胃腸や腎臓に臓器に負担がかかるのでやめましょう
おしっこが毎回無色透明なら飲ませすぎです。

水分は、一気にお水だけ飲んでも尿として排泄されるだけで、便秘の解消につながらない場合もあります。

便に水分を含ませるためには、「食べ物と一緒に水分を摂ること」と「水溶性食物繊維の摂取量を増やすこと」が大切です。

 

運動量を増やす

腸の動きをよくするために運動は有効です!

お散歩が好きなわんちゃんであれば少し距離をのばしてあげるだけで大丈夫です。

お散歩が嫌いだったり、体調的に外にでることが難しいわんちゃんは無理せず家の中で遊ぶ時間を増やす、紙袋のトンネルを作る、ニオイを当てる遊びなどを取り入れてなるべく運動をさせてあげましょう。

なつき先生

なんでもやりすぎは禁物です。
激しい運動や緊張を強いられるような運動(散歩が嫌いなのに無理やり長距離歩かされるなど)は腸の運動を却って低下させてしまい、逆効果になることもあります。 

 

食物繊維が多いものを与える

食物繊維には、不溶性食物繊維水溶性食物繊維の2種類があり、どちらも便秘の解消に重要です。

不溶性食物繊維は、便の嵩を増やして腸を刺激し、腸の蠕動運動を活発にする効果があります。

一方の水溶性食物繊維は、便に水分を含ませて便をするッと出やすくするのに役立ちます。

どちらの繊維も大切なのですが、既に便秘気味のわんちゃんに不溶性食物繊維を沢山あげてしまうと腸の中でガスが沢山発生して、お腹が苦しくなったり更に腸の動きが悪くなってしまったりすることがあります。

ですので、まずは水溶性食物繊維の摂取量を増やすことからはじめましょう。

 

キャベツ

キャベツなどの葉物野菜は茹でてあげてください。

葉物野菜を生であげてしまうと、消化不良になってしまうこともあります。

みじん切りにするとよく食べてくれます。

 

大根

大根は、生で大根おろしにしてもいいですが、大根は辛いのが苦手な子もいるので、サッと湯通ししてもいいですし、大丈夫なら生でも問題ありません。

大根だけだと食べない場合には、大さじ半分くらいのしらす干しとかかつお節とかを混ぜてあげてもいいです。

塩分を気にされる方もいますが、少量であれば問題ありません。

 

じゃがいも

じゃがいもも食物繊維をとるのに適しています。茹でて食べやすい大きさに切ってあげましょう。

意外に思われるかもしれませんが、わんちゃんだけでなく肉食の猫ちゃんでもイモが好きな子は結構います。

 

りんご

わんちゃんでりんごが好きな子は多くいるのではないでしょうか?

擦ってもいいですし、薄く切ってシャリシャリ噛んで食べられるようにしてもいいと思います。

糖分が心配と言われそうですが、これもさっきの塩分と同じで少量なら大丈夫です。

 

それぞれの与える量についてですが、だいたい食事量の1〜2割程度を目安にすると良いと思います。個体差もあるので、少量ずつ試して愛犬に合うものを探してみてください!

 

乳酸菌の摂取

善玉菌と呼ばれる乳酸菌を摂って腸内の環境を整えることも便秘解消に役立ちます。

乳酸菌については、人間が食べる無糖ヨーグルトをおやつやトッピングにしてみましょう!

トッピングに関してはコチラの記事も参考にしてください。

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トイレを我慢させない

​​トイレを我慢することで、便から水分が吸収されてしまいカチカチになることがあります。

トイレの位置を変えてから便秘になった場合はとくに要注意です。

また、外でしか排泄しないわんちゃんの場合には、

・お散歩の時間を少し早めにする
・1回の散歩時間は短くていいので、回数を増やしてみる
・そわそわしたら散歩に連れ出してみる

など排泄しやすい環境を作ってあげると良いでしょう。

外でしかうんちをしないわんちゃんに「家の中でしなさい」というのは至難のわざです。

「飼い主さんが怪我をしてお外に行けない」など、やむを得ない事情で数日お家の中にいるうちに、家のトイレでするようになった、というお話は聞いたことがあります。

しかし、今まで沢山のご相談を受けてきて、家の中のトイレを使うようになるのは数件です。

かなり根気がいりますし、便秘のわんちゃんの場合、お家の中でしてもらおうとすると余計便秘が酷くなるのでやめましょう!

 

犬の便秘のまとめ

​​本日のお話をまとめますと、
便秘と考えるべき目安として

・「丸3日便が出ていない」
・「踏ん張っても出ない、出しづらそうにしている」
・「便が石のようにカチカチ(または、水分がなくパサパサ)」
・「ウサギのうんちのようにコロコロした便を一日に数回する」

便秘解消法として

①水分摂取量を増やす
②運動量を増やす
③食物繊維量を増やす
④乳酸菌を摂る
⑤なるべくトイレを我慢させない

ということになります。

便秘解消法を5つお話してきましたが、生活習慣によっては難しいこともあると思うので、全部一気にやる必要はありませんできそうだな、と思ったところからはじめてみてください。

またこの5つの方法を試しても改善しない場合、便秘薬や整腸剤を使った方が良い場合もあります。

腸の病気、もしくは腸や腰の神経に異常がある可能性も考えられますので、その場合はすぐに動物病院を受診しましょう。

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こんどうなつき

資格:獣医師/ペット栄養管理士

難病を抱えながらもベットに寝ながら働く獣医さん。酪農大学獣医学部卒業後、動物病院や保健所での勤務を経験。現在は、飼い主さんからペットの相談を受けるカウンセラーとして働きながら、Youtubeで犬猫のごはんと健康に関する情報を発信中!

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