食事と健康

【獣医執筆】犬に生の大根を食べさせて大丈夫?与え方のポイントを解説!

こんどうなつき

資格:獣医師/ペット栄養管理士

難病を抱えながらもベットに寝ながら働く獣医さん。酪農大学獣医学部卒業後、動物病院や保健所での勤務を経験。現在は、飼い主さんからペットの相談を受けるカウンセラーとして働きながら、Youtubeで犬猫のごはんと健康に関する情報を発信中!

大根は、スーパーで手軽に買えるので、ワンちゃんの食事のトッピングにも適した野菜の一つです。

そんな大根ですが、生で食べる大根おろしのほかにも、切り干し大根やかいわれ大根など使い方は様々です。

利用方法や種類がたくさんある分、ワンちゃんに与えるときにどのように与えれば良いか悩むこともあると思います。

そこで、今回は、大根を犬に与えるときの方法について解説していきます。

ワンちゃんの体に嬉しい作用もたくさんありますので、是非ポイントを押さえて活用してみてください。

犬に大根を与えるメリット

大根は、犬に食べさせていい食材です。

大根を与えることで、どんなメリットがあるのか見ていきましょう。

 

水溶性食物繊維で便秘解消

大根は、水溶性食物繊維が豊富な食材です。

水溶性食物繊維は、食材と一緒に摂ることで便に水分を含ませ、便を柔らかくし、排便しやすくする効果があります。

大根のトッピングは便秘解消に役立ちます。

 

水分補給に最適

大根の根の90%以上は水分です。

トッピングするだけで水分を補うことが出来るため、なかなかお水を飲んでくれないワンちゃんの水分補給にぴったりです。

大根はビタミンやミネラルも含むため、暑い時期は熱中症対策に有効です。

また、寒い時期は飲水量が減るため、尿路結石が出来やすくなりますが、食事で水分を多く摂ることで、結石の予防効果が期待できます。

 

酵素の力で消化を促進

大根は、アミラーゼという酵素を豊富に含みます。

アミラーゼは、デンプンを分解する作用を持ち、消化を促進します。

アミラーゼは、加熱すると壊れやすいため、大根おろしにして生で摂るのがおすすめです。

 

ビタミンCで免疫力アップ

ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持に重要なビタミンです。

皮膚や粘膜を健康に保つことは、病原体の侵入を防ぐのに重要であり、ビタミンCを摂ることは免疫力アップに繋がります。

 

犬は、ビタミンCを体内で合成できるため、食品で摂取しなければならない必須ビタミンではないものの、気候の変化など環境ストレスで消費されやすいため、毎日食品から摂取することが推奨されています。

大根のビタミンCは、根より葉の部分に多く含まれます。

新鮮な葉付きの大根が手に入ったときは、是非葉の部分も活用しましょう。

 

大根の与え方のポイント

大根は、白い根の部分のほかにも、葉や茎、皮も食材として利用できます。

また、成長する前のかいわれ大根や乾物に加工した切り干し大根など利用方法も様々です。

ワンちゃんに与えるときのポイントをそれぞれご紹介します。

 

生で与えるなら大根おろし

大根の栄養素を沢山摂取するためには、生で食べさせるのがおすすめです。

ただ、犬は、食べ物をあまり噛まずに丸呑みする習性があるため、大きさによっては、飲み込んで喉に詰まってしまったり、消化不良になったりすることがあります。

よく噛んで食べる子であれば、スティック状に切っておやつにしても構いませんが、早食いのワンちゃんは、すりおろして食事にトッピングするのが良いでしょう。

辛みが苦手な子も多いので、大根おろしにするときは、首に近い甘味の強い部分を使いましょう。

茹でた肉や魚、温かいごはんと混ぜると食べやすくなります。

 

栄養素を活かすという意味では、生がおすすめですが、お腹が弱い子は、火を通して与えるようにしてください。

茹でる際には、食べやすい大きさに切って、柔らかくなるまで火を通しましょう。

 

葉、茎、皮

大根の葉や茎は、根よりもビタミンが多く含まれています。

鮮度の良い大根が手に入ったときには、トッピングや手作りのスープなどで与えてみてください。

根の部分に比べ、消化しにくいため、与える際は、細かく刻んで茹でる、炒めるなど必ず火を通しましょう。

 

皮もきんぴらや漬物などに使われ、食べられる部分です。

ワンちゃんも成分的には食べて問題ありません。

ただ、硬くて消化しにくいので、与えるときには、葉や茎と同様に火を通してください。

 

かいわれ大根は細かく刻んで

ビタミンCやβカロテンが豊富なかいわれ大根は、細かく刻んで生で食べることで栄養を沢山摂ることができます。

ただ、辛みが強いため、苦手な場合は、サッと湯通しする、または、スープに入れて汁ごと食べるのがおすすめです。

 

切り干し大根

切り干し大根は、カリウム、鉄、カルシウムなど栄養豊富なことが知られていますが、干して成分が凝縮されている分、食物繊維が多くなっています。

味付けしていない切り干し大根であれば、犬に与えて大丈夫ですが、食物繊維が多く消化しにくいため、水で戻し、細かく刻んで与えるようにしましょう。

 

大根などの野菜を与える際に栄養バランスが気になりませんか?

そんなときは、トッピングに栄養バランスの整った手作りごはんを与えるのもおすすめです!

今話題の手作りごはん「フレッシュフード」についてはこちらの記事でまとめていますので是非参考にしてください。

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犬に与えていい大根の量は?

大根は、焼き魚定食に付いてくる程度の量100gで18kcalと低カロリーのため、ダイエット中のワンちゃんでも安心して与えることの出来る野菜です。

しかし、食物繊維が多いため、食べ過ぎると消化不良になり、下痢・嘔吐などの症状が出ることがあります。

それぞれの食べ方でどれくらいが適量なのか見ていきましょう。

 

大根おろし

大根おろしで与える際の目安量は、5kgのワンちゃんで1cmの輪切り1/2(重さ20~25g)程度、10kgのワンちゃんで1cmの輪切り1つ(重さ40~50g)程度です。

はじめて与えるときは、体調の良いときにまずは一口食べさせてみて、問題なければ徐々に増量しましょう。

 

葉、茎、皮

茹でたり、炒めたりして柔らかくしてから与えます。

5kgのワンちゃんで10g、10kgのワンちゃんで15g程度を目安に便の状態など体調を見ながら与えてください。

 

かいわれ大根

辛みがあるので、ワンちゃんの好みに合わせて量を調整してください。

5kgのワンちゃんで10g、10kgのワンちゃんで15g程度が目安です。

 

切り干し大根

成分が濃縮されており、栄養豊富ですが、沢山摂ることで栄養が偏ってしまうことがあります。また、食物繊維量が多く、摂り過ぎるとお腹を壊すこともあるため、摂取量には注意しましょう。

5kgのワンちゃんで5g、10kgのワンちゃんで8g程度が目安です。

目安量は乾燥したものの重量になります。

 

持病があるけれど与えていいの?

「トッピングとして大根を与えたいけれど、持病があって不安」という飼い主さんもいらっしゃると思います。

よくご質問いただく病気について、大根を与えても良いか解説します。

 

腎臓病

腎臓病に影響を与えるため、控えるべき栄養素は、タンパク質、ナトリウム、リンです。また、腎臓の状態によっては、カリウムの摂取量にも注意する必要があります。

生の大根に含まれるこれらの栄養素はごく微量なため、大根おろしや茹でて与える際には、特に気にする必要はありません。

ただ、切り干し大根は成分が濃縮されており、摂取量が多いと腎臓に負担がかかってしまう恐れがあります。

 

健康な犬であれば、多少ミネラルが多くても体外に排泄出来ますが、腎臓の機能が低下していると、カリウムなど一部のミネラルは排出出来ず、血中濃度が高くなってしまうこともあります。

腎臓の機能が低下している場合には、切り干し大根は控えましょう。

 

甲状腺機能低下症

大根を含むアブラナ科の野菜には、甲状腺ホルモンの分泌を妨げる「グルコシノレート」という成分が含まれています。

成分量としては、ごくわずかであるため、トッピングやフレッシュフードの一部に大根が含まれていても全く問題ありませんが、大根を大量に与えることはやめましょう。

また、切り干し大根は、成分が濃縮されているので、念のため控えた方が良いでしょう。

 

下痢・軟便

下痢・軟便などの消化器症状がある場合には、食物繊維の少ない食事が適しています。

症状が治まるまでは、大根を与えるのはやめましょう。

 

まとめ

大根は、酵素や食物繊維、ビタミンなど、ワンちゃんの体に良い作用を与える栄養素を豊富に含む食材です。

体質や好みに合わせて、トッピングとして活用してみてください。

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こんどうなつき

資格:獣医師/ペット栄養管理士

難病を抱えながらもベットに寝ながら働く獣医さん。酪農大学獣医学部卒業後、動物病院や保健所での勤務を経験。現在は、飼い主さんからペットの相談を受けるカウンセラーとして働きながら、Youtubeで犬猫のごはんと健康に関する情報を発信中!

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