食事と健康

【獣医師執筆】犬にみかんは大丈夫?柑橘類を与えるときの注意点を解説!

こんどうなつき

資格:獣医師/ペット栄養管理士

難病を抱えながらもベットに寝ながら働く獣医さん。酪農大学獣医学部卒業後、動物病院や保健所での勤務を経験。現在は、飼い主さんからペットの相談を受けるカウンセラーとして働きながら、Youtubeで犬猫のごはんと健康に関する情報を発信中!

みかんなどの柑橘類は、苦手なワンちゃんも多いものの、中には喜んで食べる子もいます。

「何となく消化に悪そうだから」と敬遠されがちな柑橘類ですが、与え方に気を付ければ、食べさせて良い果物です。

今回は、犬にみかんを与えるメリット、与え方のポイントについて解説します。

「うちの子、みかんが好きだけど、あげて大丈夫かな?」と不安を感じつつも、ワンちゃんが好きなものだからとドキドキしながら与えていた飼い主さんは是非ご一読ください。

みかんを犬に与えるメリット

栄養面から、みかんをワンちゃんに与えるメリットについて見ていきましょう。

 

ビタミンC

みかんは、ビタミンCが多く、疲労回復や免疫力アップが期待できます。

犬は、ビタミンCを体内で合成出来るため、必須ビタミンではないものの、皮膚や粘膜の健康維持のためには、こまめに摂取した方が良いと言われています。

食事の合間のおやつとして与えるのがおすすめです。

 

β-カロテン

体内でビタミンAに変換されるβ-カロテンは、皮膚や粘膜を健康に保ちます。

皮膚や粘膜の健康維持は、病原体の侵入を防ぐためにとっても大切です。

 

β-クリプトキサンチン

カロテノイド色素の一種であるβ-クリプトキサンチンは、みかん、オレンジなどに含まれます。

犬では、有効性は証明されていないものの、人間では、肝機能の改善やがん、糖尿病、動脈硬化、骨粗しょう症のリスクを下げる効果が期待できるとして、注目されています。

 

ペクチン

食物繊維の一種であるペクチンは、便の排泄をスムーズにする効果があります。

また、善玉菌のエサとなるため、腸内の環境を整えるのに役立ちます。

 

みかんを与えるときのポイント

みかんの仲間の柑橘類で与えてよいものや与えても良い量など与えるときのポイントについてご説明します。

 

柑橘類は基本与えてオッケー

ワンちゃんが食べたがるのであれば、スーパーで売られている柑橘類は、基本的に与えて構いません。

ただし、この後お話しますが、薬を服用している場合には、副作用が出る恐れがあるため、与えない方が良いものもあります。

なつき先生
犬は酸味が苦手です。みかんなどの甘みの強いものは好むワンちゃんもいますが、レモンやグレープフルーツなどの酸味の強い柑橘類は苦手な子も多いので注意しましょう。

 

皮や袋は除いて

皮にもみかん特有の栄養素が含まれ、漢方薬などに使われることがあります。

また、袋については、食物繊維が多く、人間では袋ごと食べることが推奨されていることが多いです。

しかしながら、ワンちゃんの場合、人間ほど食物繊維を必要とせず、食物繊維の摂り過ぎは下痢に繋がることがあります。

皮や袋はむいて、果肉の部分のみを与えるようにしましょう。

成分的に害のあるものは含まれていないものの、「テーブルの上のみかんを食べてしまった」などうっかり大量に食べてしまった場合、一時的に消化不良を起こす可能性もあります。

みかんは、ワンちゃんの手の届くところには放置しないようにしましょう。

 

加工品はNG

みかんの缶詰やみかんジュースなどの加工品は、糖分がたくさん含まれています。

ワンちゃんの体に有害な物質は含まれていないものの、日常的に与えることは、糖尿病や肥満のリスクを高めてしまうため、やめましょう。

 

薬を飲んでいる子は注意!

グレープフルーツなど、一部の柑橘類に含まれる「フラノクマリン類」には、一部の薬の効果を強める作用があることが知られています。

薬の作用が強まることで、副作用が現れやすくなることがあり、一部の免疫抑制剤や抗がん剤などで特に影響が出やすいと言われています。

一般的に「みかん」と呼ばれる「温州みかん」とデコポンは、薬にほとんど影響を及ぼさないとされていますが、それ以外の柑橘類については薬を飲んでいるワンちゃんに与えることは避けましょう。

 

みかんを与えていい量は?

栄養面から、主食のドッグフード以外の食べ物を与える場合は、1日の摂取カロリーの1~2割程度を目安にするのが良いと言われています。

しかし、みかんは糖分や食物繊維が多く、ワンちゃんにとって消化に良いとは言えません。

ですので、体調や便の状態を確認しながら1割程度を目安に与えるのが良いと思います。

【体重別の目安量】
3kg:みかん小1個または中1/2
5kg:みかん中1個
10kg:みかん中1.5~2個
※1日に必要な摂取カロリーを(5×30+70)×1.6=352、みかん小1個可食部45g,20kcal、中可食部75g,34kcalとして計算しています

みかんのみをおやつにするのであれば、5kgのワンちゃんで35kcal、中くらいのみかん1個程度になります。

他の食材もおやつとして与えるのであれば、みかんと他のおやつを合わせて、1日の摂取カロリーの2割以内になるよう調整しましょう。

なつき先生
上記の量はおおよその目安です。お腹の調子を崩しやすい子は控えめにするなど、ワンちゃんのお腹の調子を見ながら調整してください。

 

カロリー計算はこちらの記事で詳しく解説しています。合わせてお読みください。

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まとめ

柑橘類は、ワンちゃんに与える場合、お腹の調子を見ながら、与え過ぎないように注意しましょう。

嫌いであれば無理に与える必要はありませんが、果肉部分には栄養素が沢山含まれているので、みかんの味が好きなワンちゃんには、日々の楽しみとして、お裾分けしてあげるのも良いかもしれません。

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資格:獣医師/ペット栄養管理士

難病を抱えながらもベットに寝ながら働く獣医さん。酪農大学獣医学部卒業後、動物病院や保健所での勤務を経験。現在は、飼い主さんからペットの相談を受けるカウンセラーとして働きながら、Youtubeで犬猫のごはんと健康に関する情報を発信中!

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