甘味の強いバナナは、ワンちゃんの大好きな食べ物の一つです。
ただ、糖分が多いだけに、ワンちゃんにバナナをあげて良いのか悩んでしまう飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
また、子犬やお腹の調子を崩しやすい子、持病がある子にあげても大丈夫なのか気になるという声もよく聞きます。
そこで、今回は、バナナを犬に与えるとどんなメリットがあるのか、また、与えるときにはどのようなことに注意すれば良いのかについて解説していきます。
ワンちゃんの大好きなバナナを安心して与えることができるようになると思いますので、是非最後までご覧ください。
犬のおやつにバナナが良い理由
ワンちゃんのおやつとしてバナナは最適な食材です。
バナナを与えるメリットを栄養素の観点からご紹介します。
ビタミン摂取で免疫力を高める
バナナは、ビタミンB6やビタミンCを豊富に含む果物です。
ビタミンB6は、神経や筋肉、血液の健康に欠かせないビタミンであり、不足すると筋肉が弱くなったり、貧血症状が出たりすることがあります。
ビタミンCは、粘膜や皮膚の健康維持に必要なビタミンです。
これらのビタミンを豊富に含む食材をおやつに取り入れることで、血液や神経、皮膚などの健康を保ち、免疫力アップに繋がります。
豊富なカリウムが過剰なナトリウム排出に役立つ
バナナは、カリウムが豊富な食材です。
カリウムとナトリウムは互いにバランスを取り合っています。
カリウムを充分に摂取することによって、過剰なナトリウムを体の外へ排出することができます。
食欲アップに繋がる
犬は、甘味を好む習性があります。
そのため、病み上がりで食欲がなかったり、老犬で加齢とともに食が細くなってしまったりしても、バナナなら食べてくれることがあります。
バランスよく栄養を摂ることは、もちろんですが、体力維持のためには、一定のカロリーを摂ることが大切です。
特に治療すべき持病はないけれど、食欲が沸かないワンちゃんのおやつの一つにバナナを加えてみるのも良いと思います。
バナナを与えるときのポイント
栄養満点のバナナですが、与えるときにはいくつか注意すべきことがあります。
おやつとしてどれくらいの量を与えても良いのか、子犬や持病を持つワンちゃんに与える際のポイントについて、お話していきます。
バナナの適量は?
バナナは、栄養豊富な反面、グラム当たりのカロリーや糖質が高めの食材であるため、摂り過ぎにならないよう量には気を付ける必要があります。
おやつの目安ですが、一般的には、食事全体のカロリーの1~2割程度にするのが良いとされています。
バナナに関しては、健康なワンちゃんで、バランスの良い食事が充分に摂れているのであれば、与え過ぎにならないよう、1日のカロリーの1割を限度にするのが良いでしょう。
バナナのみをおやつとして与える場合、5kgのワンちゃんで約35kcalバナナ5分の1本程度、10kgのワンちゃんで約60kcalバナナ3分の1本程度が上限となります。
※1日に必要な摂取カロリーは、避妊・去勢済みの成犬と仮定し、 (体重kg×30+70)×1.6として計算しています。
※バナナは、1本200g程度のものを想定しています。
与える頻度としては、バナナ以外のおやつと組み合わせて、「日々の楽しみ」程度にローテーションしながら与えるのがおすすめです。
他のおやつも同じ日に与える場合には、「合わせて1日の摂取カロリーの2割以内」になるよう量を調整します。
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子犬にバナナを与えて良いの?
バナナは栄養素として、子犬に与えていけないものは含まれていません。
ただし、子犬はちょっとしたことでお腹の調子を崩しやすく、いつも与えていないものをあげただけで下痢をしてしまうことがあります。
下痢は、栄養不足や体力消耗の原因となるため、ある程度体力がつくまで食べ慣れない野菜や果物をおやつにするのは控えましょう。
具体的には、離乳食を卒業するまで待った方が安心です。
はじめて与える場合には、必ず1口から与え、様子を見るようにしてください。
アレルギー反応など体調の変化がないか確認してから少しずつ慎重に増量するようにしましょう。
持病がある子にバナナを与えるときの注意点
糖分やカリウムなどのミネラルが多いことから、持病を持つワンちゃんにバナナを与えて良いのかご相談いただくことがあります。
病気ごとに注意すべき点を解説します。
ガン
ガン(腫瘍)と食事については、一般的にタンパク質多め、かつ糖質制限をした方が良いと言われています。
炭水化物(主に糖質)は、水分を除いた乾物量で食事の25%以下にすることが推奨されています。
バナナは、糖質の多い食材ですので、こうした食事療法を行っている場合には、避けた方が良いでしょう。
ただし、上記のような食事療法は、食欲が落ちておらず、充分に安定したカロリーを摂取出来ることが条件です。
食欲が無い場合や食べムラがある場合の無理な糖質制限は、低血糖の恐れもあり、命にかかわりますので、絶対にやめましょう。
また、食事療法を行うときには、安全のため、必ず、専門家の指示のもと行うようにしてください。
食欲や全身状態によりますが、食欲がなく、なかなか食べてくれない場合には、
体力や体型を維持するために、食事量を十分摂ることを優先していただくことが大切です。
食欲が無く、とにかく食べられるものを与えるよう指示されている場合には、バナナも食べるようなら制限する必要はありません。
膵炎
膵炎の既往歴があるワンちゃんは、低脂肪食を与えることが推奨されています。
バナナは、カロリーの高い食材ではあるものの、脂質については僅かしか含まれていません。
膵炎の既往歴のあるワンちゃんがおやつとして少量食べても問題はありません。
腎臓病
腎臓病は、腎臓の負担を軽減するため、タンパク質、リン、ナトリウムの制限が必要となります。また、高カリウム血症を指摘されている場合には、カリウムの制限が必要なこともあります。
バナナは、カリウムの多い食材ですので、高カリウム血症と言われている場合には、おやつに与えるのはおすすめできません。
腎臓の機能が低下していると言われているけれど、かかりつけの先生から食事について制限の指示がなく、「バナナが好きだから与えたい」という場合には、おやつ程度なら与えても構いません。
ただし、毎日は避け、「生活の楽しみ」として、2,3日に一度、1~2口程度にとどめましょう。
てんかん
てんかんと食事については、ネット上で様々な情報を見かけることがあります。
しかし、今のところ、てんかんと食品との関連については、科学的根拠には乏しいのが現状です。
栄養素の中では、ビタミンB群が脳神経系の伝達にかかわることが証明されています。
しかしながら、それが、てんかんとどう関係があるのかは解明されていません。
バナナは、脳のエネルギーとなるブドウ糖や神経系にかかわるビタミンB6などを含み、てんかんに良いという情報も見受けられます。
しかし、本当にてんかんに良いかはわかりません。ただ、少なくとも悪い影響を及ぼすことはありません。
ですので、健康なワンちゃんと同様に考え、おやつとして与えて問題ないでしょう。
まとめ
バナナは、カロリーや糖質が高いため、あげ過ぎは禁物ですが、上手に取り入れれば、豊富な栄養を摂取するのに役立ちます。
与える量に気を付けながら、おやつのレパートリーの一つとして、活用してみてくださいね。