犬は甘味を好む動物なので、りんごなどの果物が大好きというワンちゃんは多いです。
しかし、飼い主さんとしては「どれくらいの量食べさせていいのか悩む」「腎臓病を抱えているけれど、与えて良いの?」など量の問題や体質、持病などの問題で「うちの子に与えて良いか」という相談をいただくことがあります。
今回は、ワンちゃんに与えて良いりんごの量や持病があるときの与え方について解説しますのでぜひ参考にしてください。
犬はりんごを食べてもいいの?
りんごは犬が食べても良い食材の一つです。
以下のような成分がワンちゃんの健康に役立ちます。
オリゴ糖
りんごには、善玉菌のエサとなるオリゴ糖が含まれており、腸内環境の改善に役立ちます。
下痢や便秘など腸のトラブルが起きているときには悪玉菌が増加しますが、オリゴ糖を摂ることで、善玉菌の数が増え、悪玉菌を抑制することができます。
オリゴ糖は甘味があるため、食欲増進効果も期待できます。
ペクチン
りんごに含まれる食物繊維の一種です。
食物繊維として便の排泄をスムーズにする効果はもちろん、オリゴ糖と同様、善玉菌のエサとなるため、腸内の有害物質の排泄と善玉菌の増殖両方に効果を発揮します。
クエン酸
りんごに含まれるクエン酸は疲労回復効果があり、体力や免疫力の低下が気になるワンちゃんにぴったりです。
犬が食べてもいいりんごの量は?
様々な効果が期待できるりんごですが、糖質が多いため、大量に摂ることで肥満や糖尿病のリスクが高まります。
また、食物繊維を含む食材のため、食べ過ぎると下痢をしてしまうこともあります。
では、実際にどれくらいの量を食べさせるのがいいのでしょうか?
一日の目安量
栄養バランスの観点から、主食のドッグフード以外の食べ物を与える場合の目安としては、1日の摂取カロリーの1~2割程度が良いと言われています。
りんごは糖質が多く、満腹感を感じやすいため、主食が食べられなくなることがないよう1割程度にするのが良いと思います。
りんごのみをおやつにするのであれば、5kgのわんちゃんで約1/4個程度ということになります。
5kgのワンちゃんの場合
1日に必要なカロリーは(5×30+70)×1.6=352kcal
1割に抑えると約35kcal
りんご1個のカロリーが約140kcalなので
35/140=約1/4個
となります。
※成犬、避妊去勢済みで計算
※リンゴは1個、約270gで計算
※カロリーの計算に関してはコチラの記事も参考にしてください。
体重別目安はこちら(←表にしたいです)
体重 | 1~4kg | 5~12kg | 13~kg |
リンゴの目安 | 1/8個程度 | 1/4個程度 | 1/2個程度 |
毎日与えて良いの?
成分的には毎日与えても害になることはありませんが、栄養バランスを考えるといくつかの食材を組み合わせて与えるか、数日ごとにローテーションするのが良いでしょう。
トッピングをあげたいけど、ローテーションを考えるのは大変!という場合には栄養食バランスの取れたフレッシュフードをトッピングあげるのもオススメです。
おすすめのフレッシュフードはコチラの記事で紹介しているので参考にしてみてください。
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他の食材と組み合わせるならヨーグルト!
リンゴを他の食材と組み合わせるなら、ヨーグルトがおすすめです。
ヨーグルトと合わせることで、オリゴ糖やペクチンと乳酸菌を一緒に摂ることができ、お腹の調子を改善するのに役立ちます。
りんごを与えるときの注意点
りんごはワンちゃんのおやつにピッタリの食材ですが、気を付けた方が良いことがいくつかあります。
子犬にリンゴを与えるのは乳歯が生えてから
りんごは消化に良く、すりおろせば生後1ヶ月の子犬に与えても成分的には問題ないとされています。
ただ、子犬は水分や繊維などのちょっとした変化でもお腹を壊してしまうことがあります。
離乳食の間は、りんごなど果物を与えるのは避けた方が無難だと思います。
3,4ヶ月頃になり、乳歯が生えて離乳食を卒業したら、与えても良いでしょう。
最初に与えるときには、一口食べさせてみて、その後便に変化がないことを確かめて、徐々に増量するようにしてください。
便が緩くなるなど体質に合わない場合は与えないようにしましょう。
皮・種・芯は取り除く
りんごの種や芯には、「アミグダリン」という成分が含まれており、このアミグダリンは、腸内の細菌の作用によって毒性を持つことが知られています。
しかし、これはりんごを数百個食べると毒になるという話であり、ワンちゃんが少し食べてしまったからといって、体に影響することはありません。
ただ、りんごの種や芯は消化に悪いため、与える際には取り除きましょう。皮も消化不良の原因になるため剥いてください。
持病があるときにリンゴは与えてもいいの?
持病があると食事やおやつについても心配になりますよね。
「りんごが大好きだからあげたいけど大丈夫でしょうか?」と聞かれることも多いです。
よくご質問いただく病気について、りんごを与えて良いか解説します。
腎臓病
腎臓病は、タンパク質やリン、ナトリウムの摂取量を制限して、腎臓の負担を軽減するため、それらの成分を調整した腎臓病用療法食の使用が推奨されています。
しかし、腎臓病用療法食は、味がうすく、トッピングしないとなかなか食べてくれないこともあります。
また、食欲が無くなってしまうワンちゃんも多いため、食事の成分よりも食べられるものを優先して与えるようにお伝えすることもあります。
りんごは、腎臓に影響する成分の少ない食材ですので、腎臓病のワンちゃんでも与えることが出来ます。
生活の質をあげるために少しは好きな食べ物を食べさせてあげたいとお考えの場合には、トッピングやおやつにりんごを取り入れてみるのも良いと思います。
尿路結石
ワンちゃんの結石の主な種類として、ストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石があります。
特にストルバイト結石の場合には、尿のpHを調整して結石を溶かすことが大切です。
りんごを少量与える程度であれば、尿のpHに大きな影響を与えるとは考えにくいものの、他の食材を与えることで、療法食を食べてくれなくなる恐れがあります。
療法食を問題なく食べてくれるのであれば、結石が治るまでりんごは控えた方が良いでしょう。
ストルバイト結石以外の結石の場合は、療法食を与えることよりも水分摂取量を増やすことが重要となります。
りんごは水分補給にもなるため、健康なワンちゃんと同様におやつ程度であれば、与えても問題ありません。
まとめ
1年中手に入りやすいりんごは、さまざまな栄養素をバランスよく含んでおり、お腹に優しく、疲労回復にも役立つ食材です。
甘味が強く、シャリシャリの触感は大好きなワンちゃんも多いので、おやつやトッピングとして上手に取り入れてみてください。
ただし、与え過ぎは体調不良や栄誉バランスを崩す可能性もあるので注意が必要です。
うちの子に合った適切な量を与えてあげてください。
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