さつまいもは、甘味が強いため、大好きというワンちゃんも多いと思います。
栄養も豊富なため、おやつにピッタリの食材ですが、「焼き芋や干し芋などをおやつにして良いの?」といったご質問や「子犬にあげていいの?」「どれくらいの量なら大丈夫?」といったご質問もよくいただきます。
また、持病があるのに与えて大丈夫なのか心配されている飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、さつまいもの与え方のポイントや持病があるときに与え良いのかなど病気との関係についても解説していきます。
この記事をご覧いただくことで、ワンちゃんの大好きなさつまいもを安心してあげることが出来るようになりますので、是非最後までご覧ください。
さつまいもが犬のおやつにぴったりな理由
さつまいもは、ワンちゃんのおやつにピッタリの食材です。
その理由について、解説していきます。
不溶性繊維で便通を促進
さつまいもには、セルロースやヤラピンといった不溶性繊維が豊富に含まれています。
これらの不溶性繊維食物繊維は、便の嵩を増やして腸を刺激し、便の排泄を助けます。
ビタミンCを効率よく摂取できる
ビタミンCは水溶性ビタミンなので、加熱することで失われやすいという特徴があります。
しかし、さつまいものビタミンCは、含有量が多い上に、デンプンによって熱から守られるため、失われにくく、沢山摂取することができます。
ビタミンCは犬では必須ビタミンではないものの、皮膚や粘膜の健康維持に重要なビタミンです。
豊富なカリウムで過剰なナトリウムを排出
さつまいもは、カリウムが豊富な食材です。
カリウムとナトリウムは互いにバランスを取り合っており、カリウムを摂取することで、過剰なナトリウムを体外へ排出する効果が期待できます。
食欲増進効果
犬は、甘味を好む習性があるため、食欲がないときでもさつまいもなら食べてくれることがあります。
さつまいもをトッピングすることで、食欲が増し、食事量を増やすことができるでしょう。
また、さつまいもは野菜の中ではカロリーが高い食材なので、さつまいも自体もカロリーを補うのに役立ちます。
ゆっくり加熱することで甘味が増すので、調理するときには加熱方法にも気を配ると良いでしょう。
犬にさつまいもを与えるときのポイント
さつまいもの調理方法など犬にさつまいもを与えるときのポイントについて見ていきましょう。
茹でる・蒸す・焼く
さつまいもは、茹でる・蒸す・焼くなど必ず調理して与えましょう。
茹でるときは、1cm角程度に切り、柔らかくなるまで加熱します。
ゆで汁にも栄養素が溶けだしているので、ゆで汁ごと与えるのが良いでしょう。
蒸したり焼いたりして与えると栄養素をそのまま摂取できるのでおすすめです。
薄くスライスして、オーブントースターで焼けば、簡単に手作りおやつが作れます。
子犬は離乳食が終わってから
少量であれば、子犬にさつまいもを与えても成分的に問題はありません。
しかしながら、子犬はちょっとした変化でお腹の調子を崩しやすいため、食物繊維の多いさつまいもを与えるときは、慎重に量を調整する必要があります。
体力がつくまでは、ちょっとお腹を壊しただけで、弱ってしまうこともあります。
離乳食が完了するまでは、食物繊維の多いさつまいもは控えましょう。
その後もはじめて与えるときは、ごく少量から与え、お腹の調子を見ながら少しずつ増量するようにしてください。
与えて良いさつまいもの量はどれくらい?
おやつとして与えて良いさつまいもの量についてお話します。
食物繊維の多い食材は、もともとのお腹の調子によって適量に個体差があります。
目安量をお伝えしますので、これを基準にうちの子の便の状態に合わせて調整してくださいね。
焼き芋、茹でた芋の目安量
主食がドッグフードの場合は、それ以外の食材をおやつとして与えるときの目安として、1日に必要なカロリーの1~2割程度が適量とされています。
さつまいものみをおやつにするのであれば、5kgのワンちゃんで約35kcalさつまいも20~25g程度、10kgのワンちゃんで約60kcalさつまいも21~27g程度が目安となります。
カロリーの計算方法はこちらの記事で詳しく解説しています。
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干し芋の目安量
干し芋もさつまいもですので、犬に与えて構いません。
ただ、水分量が少なく栄養素が凝縮されているため、与える量には注意が必要です。
干し芋 100gのカロリーは、300kcal程度 ですので、先ほどと同様に計算すると、5kgのワンちゃんで約11g、10kgのワンちゃんで約20gが目安量となります。
さつまいもなどの野菜を与える際に栄養バランスが気になりませんか?
そんなときは、トッピングに栄養バランスの整った手作りごはんを与えるのもおすすめです!
今話題の手作りごはん「フレッシュフード」についてはこちらの記事でまとめていますので是非参考にしてください。
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持病があるときの注意点
ワンちゃんに持病があるとき、さつまいもを与えてよいか悩んでしまうことがあると思います。
よくご質問いただく病気との関連性についてご説明します。
腎臓病
さつまいもは、カリウムを多く含む食材のため、腎臓の状態によっては控えた方が良い食材です。
高カリウム血症と言われている場合には、おやつにさつまいもを与えるのはおすすめできません。
ただし、「フードにさつまいもが含まれているけれど、それしか食べない」という場合には、無理にフードを変える必要はありません。
腎臓病は療法食のみを与えるのが成分的には理想ですが、食べてくれないことには体力の維持ができません。
フードに避けた方が良い食材が含まれていても、全体で栄養バランスが整っていれば、摂取しても大丈夫です。
また、腎臓の機能が低下していると言われているけれど、かかりつけの先生から食事について制限の指示がない場合には、おやつ程度であればさつまいもを与えても構いません。
カリウムを考慮して、食事全体のカロリーの1割を目安に控えめに与えましょう。
尿路結石
尿路結石の種類は、主にストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石です。
ストルバイト結石は、オシッコのpHを調整する療法食のみを与えることで、結石を溶かし、結石の大きさによっては、完治させることも可能です。
ですので、ストルバイト結石が無くなるまでは、ほかのものは与えず、療法食のみを使うことをお勧めします。
どうしても療法食を食べてくれない場合でも、さつまいもには、結石の形成に関わるマグネシウムが多く含まれるため、結石が溶けるまでは与えないようにしましょう。
シュウ酸カルシウム結石は、療法食では溶けないため、水分摂取量を増やすことが基本です。
絶対に食べてはいけない食材はないものの、さつまいもには、シュウ酸カルシウム結石を形成するもととなる、カルシウムやビタミンCが多いため、与え過ぎないように注意が必要です。
ドッグフードの中に入っている程度であれば問題ありませんが、おやつで与えるのは控えた方が良いでしょう。
「さつまいもが大好きだから、どうしても与えたい」という場合は、毎日与えるのはやめ、数日に1回、食事全体のカロリーの1割を目安に「たまの楽しみ」として与えるようにしましょう。
心臓病
心臓病は、初期では特に栄養素の制限は必要ないものの、心臓の拡大が見られた場合には、ナトリウムを制限する必要があります。
さつまいもに含まれるカリウムは、ナトリウムを体外に排出するのに役立ちます。
ただし、心臓病の状態によっては、腎臓の機能が低下していることもあるため、カリウムの摂り過ぎには気を付けなければなりません。
さつまいもについては、腎臓に問題がなければ、特別制限する必要はありませんが、「ナトリウムの排出に良いから」といって大量に与えることはやめましょう。
健康な犬と同様に食事全体のカロリーの2割を目安にしてください。
肝臓の機能低下
肝臓の病気は、いくつかあり、それぞれ原因や対処方法が異なります。
かかりつけの先生から食事についての制限がない場合には、食事の成分よりも、食事量と食事時間を安定させ肝臓に栄養を供給することが大切です。
さつまいもについても、おやつ程度であれば、与えて構いません。
ただ、肝臓の疾患の中でも銅蓄積病という遺伝病の場合には、銅の制限が必要です。
さつまいもは、銅を多く含む食品ですので、その場合には、与えないようにしましょう。
胆泥症
胆泥症は、健康診断時にエコー検査で見つかることがあります。
胆泥症自体は、病気ではありませんが、胆汁の流れが悪い可能性があることや証明はされていないものの、胆嚢粘液腫など病気との関連の可能性があることから、胆泥が発見された場合には、低脂質の食事をすることが推奨されています。
さつまいもは脂質の少ない食材ですので、特に制限する必要はありません。
膵炎
膵炎を発症したことのある犬の食事は、低脂質のものが良いと言われています。
さつまいもは、脂質の少ない食材なので、健康な犬と同じようにおやつとして与えても問題ありません。
てんかん
てんかんと食事については、様々な情報が流れています。
てんかんに良いとされる食べ物や避けるべきとされるものもありますが、科学的根拠には乏しいのが現状です。
ビタミンB群が脳神経系の伝達にかかわることが証明されていますが、それがてんかんにどう作用するかは解明されていません。
さつまいもは、脳のエネルギーとなるブドウ糖やビタミンB6などを含み、てんかんに良いという情報を目にすることがあります。
さつまいもがてんかんに良い作用を与えるかどうかは分かりませんが、少なくとも悪い影響を及ぼすことはありません。
健康な犬と同様におやつとして与えて問題ないでしょう。
まとめ
さつまいもは、食物繊維やビタミンが豊富で、おやつに最適な食材です。
甘味も強く、ワンちゃんの食欲がないときの強い味方でもあります。
持病によっては量に注意すべき場合もありますが、摂取量に気を付けて上手に活用していきたいですね。