かぼちゃは、犬に人気の食材の一つです。おやつやトッピングとして与えている飼い主さんも多いのではないでしょうか?
一方で、腎臓病や心臓病など持病があるけれど、与えて大丈夫なのか悩んでいるという声もよく聞かれます。
そこで、今回は、かぼちゃの与え方や持病をかかえているワンちゃんにかぼちゃを与えるとき注意すべきことについてお話します。
かぼちゃを犬に与えるメリット
かぼちゃなどの野菜は、「ダイエット中だけど、かぼちゃくらいならいいかな」「味が付いた食べ物より健康にいいはず」など、おやつを与えることに罪悪感があるけれど、野菜だからと言い訳をしながら与えている飼い主さんをよくみかけます。
しかし、かぼちゃは、適量であれば、ワンちゃんの健康にプラスになる野菜です。
与えることで、どんなメリットがあるのか見ていきましょう。
β-カロテンで免疫力アップ
犬は、β-カロテンを体内でビタミンAに変換することができる動物ですので、カボチャのβ-カロテンを有効に活用できます。
ビタミンAは、皮膚や粘膜を健康に保ちます。
皮膚や粘膜の健康維持は、病原体の侵入を防ぐためにとっても大切です。
ビタミンAは、脂質と一緒に摂ることで吸収率が高まることが知られています。
かぼちゃと肉を一緒にフードにトッピングすると効率よく栄養が摂れます。
ビタミンEの抗酸化作用で若さをキープ
緑黄色野菜の中でも、かぼちゃに特に多く含まれるビタミンEは、若返りビタミンとも呼ばれ、細胞や体内の脂質の酸化を防いでくれます。
血行促進効果があり、肝臓の回復にも重要と言われています。
脂溶性ビタミンですが、体内に蓄積しにくく、食材で摂る分には、過剰症の心配はありません。
不溶性繊維で便通を促進
かぼちゃには、不溶性繊維が豊富に含まれています。
不溶性食物繊維は、水に溶けず、便の嵩を増やして腸壁を刺激し、便の排泄を促します。
ただし、不溶性食物繊維の摂り過ぎは、軟便・下痢を引き起こすこともあるため、摂取量には注意が必要です。
ビタミンCの補給
かぼちゃは、ビタミンCも豊富に含まれます。
ビタミンCは犬では必須ビタミンではありませんが、皮膚や粘膜の健康維持に重要です。
一度に大量のビタミンCを摂っても余剰なものは体から排泄されてしまうので、こまめに摂るのが良いとされています。
おやつにかぼちゃを摂ることで、ビタミンCを補給することができます。
カリウムで過剰なナトリウムを排出
かぼちゃは、カリウムが豊富な野菜です。
カリウムとナトリウムは、体の細胞の内側と外側で互いにバランスを取り合っています。
ナトリウムは、腎臓で再吸収されますが、カリウムを充分に摂取することで、再吸収が抑えられ、余剰なナトリウムを体外へ排出する効果が期待できます。
自然の甘味で食欲増進
犬は、甘味を好む習性があります。
かぼちゃをトッピングすることで、食欲が増し、食事量を増やすことができるので、食が細い子や段々と食事量が落ちてきたシニア犬におすすめです。
また、かぼちゃは野菜の中では炭水化物が多く、カロリーが高い食材なので、かぼちゃを食べること自体もカロリーを補うのに役立ちます。
犬にかぼちゃを与えるときのポイント
「皮やわた、種は与えて良いのか」などかぼちゃの部位や「子犬に与えて良いのか」など犬にかぼちゃを与える際のポイントについて解説していきます。
必ず火を通す
生のかぼちゃは硬く消化に良くありません。
一口サイズに切り、茹でる、蒸すなど必ず火を通して与えましょう。
茹でた場合は、ゆで汁も一緒に与えると栄養を余すことなく摂取することができます。
皮やわたは与えても大丈夫!
かぼちゃの皮は、火を通して柔らかくすれば与えて構いません。
わたも栄養が豊富な部分なので、一緒に与えるのが良いでしょう。
種はダメ
かぼちゃの種は、加熱しても硬く、消化できないため食べると下痢をしてしまうことがあります。茹でたり蒸したりして与えるときには取り除きましょう。
成分的には有害なものはなく、一部ナッツに含まれるような中毒物質は含まれていません。
リグナンという植物ポリフェノールが豊富に含まれるなど、寧ろ栄養価は高いと言われています。
フードや犬用おやつに含まれているものについては摂取して大丈夫です。
かぼちゃを子犬に与えていいの?
かぼちゃは、子犬に与えても成分的に問題のあるものは含まれていません。
しかし、子犬はちょっとした変化でお腹の調子を崩しやすく、少し下痢をしただけでも衰弱してしまうことがあります。
かぼちゃは、食物繊維が多いため、便の状態に影響しやすく、慎重に量を調整する必要があります。
離乳食が完了し、ある程度体力がつくまでは、かぼちゃは控えた方が良いでしょう。
はじめて与えるときは、少量から、お腹の調子を見て少しずつ量を調整しましょう。
犬に与えて良いかぼちゃの量は?
おやつやトッピングとして与えて良いかぼちゃの量についてお話します。
お腹の調子を崩しやすい子は、食物繊維の多い食材を与える際には、一口試してみて便の状態を確認するようにしてください。
かぼちゃ単独で与えるときの目安量
かぼちゃのみをおやつにするのであれば、5kgのワンちゃんで約35kcalかぼちゃ40g程度、10kgのワンちゃんで約60kcalかぼちゃ65g程度となります。
※1日に必要な摂取カロリーは、避妊・去勢済みの成犬と仮定し、 (体重kg×30+70)×1.6として計算しています。
※かぼちゃは、可食部100gあたり90kcalで計算しました。
カロリーの計算方法はこちらの記事で詳しく解説しています。
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かぼちゃ以外の食材も与えるときの目安量
ドッグフードなど主食以外の食材をおやつとして与えるときは、1日に必要なカロリーの1~2割程度が適量です。
かぼちゃ以外のおやつを与えている場合には、他のおやつも合わせて、1日の摂取カロリーの2割以内になるように量を調整します。
かぼちゃなどの野菜を与える際に栄養バランスが気になりませんか?
そんなときは、トッピングに栄養バランスの整った手作りごはんを与えるのもおすすめです!
今話題の手作りごはん「フレッシュフード」についてはこちらの記事でまとめていますので是非参考にしてください。
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持病があるときの注意点
ワンちゃんに持病があるとかぼちゃを与えてよいか悩んでしまうという飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
特にご質問の多い腎臓病、心臓病との関連性についてご説明します。
腎臓病
かぼちゃは、カリウムを多く含む食材です。
カリウムには、ナトリウムの排泄を助けてくれるはたらきがあるものの、腎臓の状態によってはカリウムが体に蓄積されてしまうことがあります。
腎臓病で高カリウム血症と言われているワンちゃんは、おやつにかぼちゃを与えるのはやめましょう。
腎臓という臓器の負担軽減のみを考えると、療法食だけを与えるのが理想ですが、食べてくれないことには体力の維持ができないため、食べてくれるものを優先して与えることもあります。
今食べさせているフードの一部にかぼちゃが含まれていても、フードを変える必要はありません。
単体で避けた方が良い食材が含まれていても、フード全体で栄養バランスが整っていれば、摂取しても大丈夫です。
また、腎臓病でもかかりつけの先生から食事について制限がない場合には、おやつにかぼちゃを与えても構いません。
心臓病
心臓病は、初期では特に栄養素の制限は必要ありません。ただし、心臓の拡大が見られた場合には、ナトリウムを制限する必要があります。
かぼちゃのカリウムは、余剰なナトリウムを排出するのを助けてくれます。
ただし、心臓病の状態によっては、同時に腎臓の機能低下が起こっていることもあるため、カリウムの摂り過ぎには気を付けなければならないこともあります。
腎臓に問題がなければ、かぼちゃなどカリウムの多い食材を制限する必要はありません。
ただし、ナトリウムの排出を助けるからといって、与え過ぎは禁物です。
健康なワンちゃんと同様に食事全体のカロリーの2割を目安にしましょう。
まとめ
かぼちゃは、栄養豊富で甘味も強く、栄養面でも味の面でもワンちゃんのおやつにピッタリの食材です。
日常的なおやつやトッピングの一部として、是非取り入れてみてください。