わんちゃんと暮らしている中で、ついいろんな食べ物をあげたいと思うのは飼い主さんあるあるですよね!
しかし、人間にとって良い食べ物であっても、わんちゃんにとって必ずしも良い食べ物とは限らず、場合によっては有害になってしまう場合もあります。
ペットを飼い始めたときにペットショップや獣医師さんから危険な食べ物について説明を受ける機会が必ずあると思われますが、本記事では、危険な食べ物に加えて、実際にこれくらいの量を食べると危ないという中毒量についてもご紹介していきますので、是非最後までご覧ください。
犬に与えてはいけない食べ物
まずはワンちゃんに与えてはいけないものを羅列して紹介していきます。
野菜
・玉ねぎ
・ネギ
・ニラ
・にんにく
・アボカド
・トマト(へた、茎、葉、花、未熟な実)
果物
・ぶどう、レーズン
・さくらんぼの種、茎
→さくらんぼの果肉は与えても問題ありません。
・いちじく
・りんごの種、芯、茎、葉
→りんごの果肉は与えても問題ありません。
お肉
・生肉
・鳥の骨(リスクの可能性)
魚介類
・エビ
・カニ
・イカ
※おやつやフードなどにエキスとして含まれていても問題ありません。
豆類・乳製品
・マカダミアナッツ
・牛乳
・チーズ
→塩分が少ないものを少量なら問題なし
お菓子・飲み物
・チョコレート
・お茶
・コーヒー
・アルコール
その他
・香辛料(塩、こしょう、わさびなど)
・キシリトール
動画で解説!
犬が食べてはいけない食べ物の危険な量
つづいて、各食材でどれくらい食べると危険なのかについてピックアップした10品目について紹介していきたいと思います。
①ネギ類
玉ねぎやネギ、ニラ、ニンニクなどは多くの飼い主さんがご存じの方も多いと思います。
ネギ類は「スルフォキシド」という中毒物質を含んでいて、症状として貧血や腎不全を起こします。
実際にどれくらい食べたら中毒症状が出るかというと、体重の0.5%以上で中毒になると言われています。
5kgのワンちゃんなら25gで中毒になってしまう計算です。
症状の重症度は個体差が大きいものの、このくらいの量で何らかの症状が出ることが多いです。
スルフォキシドは加工したり加熱したりしても分解されないので、スープのように調理したものも与えないように注意しましょう。
②チョコレート
こちらも犬に食べさせてはいけない食べ物として有名ですよね。
チョコレートは「テオブロミン」という成分が含まれていて、この成分が犬の中枢神経に作用し症状が出ます。
症状としては、興奮、震えなどを起こし、摂取量が多いと心臓に作用し、頻脈・不整脈が起こることもあります。
チョコレートの中毒量ですが、カカオの含有量が多いほど危険となります。
チョコレートの中毒量の目安
・ホワイトチョコレート:約200g
・ミクルチョコレート:約10g
・ダークチョコレート(カカオ40%前後):約2.7g
・ココアパウダー :約0.6g
※体重1kgあたりの量です。
5キロのワンちゃんなら、ここにあるそれぞれのチョコレートの5倍の量で中毒になる計算になります。
ホワイトチョコレートなどここまでの量を食べるような場面は中々ないので、先ほどお話した玉ねぎより緊急性が高いことは少ないです。
しかし、ココアパウダーなどは少量舐めてしまっただけでも症状が出ることがありますので、より注意してください。
重症化しにくいとはいえ、体に良くはないので盗み食いされないところにしまっておきましょう!
③カフェイン飲料
チョコレートと同じくらいご相談いただくのが、コーヒーや緑茶、紅茶などカフェインを含む飲み物です。
よくあるのが「コーヒーをこぼしてしまったときに、うちのワンちゃんが舐めてしまいました。大丈夫でしょうか?」というものですね。
カフェインもチョコレートのテオブロミンと同じように中枢神経に作用して、興奮や震えなどの症状を発症させます。
ただ、液体の飲み物の場合、「飼い主さんが飲んでいるところにきて数滴舐めてしまった」ということがほとんどなので、液体かつ数滴であれば少ないためまず問題になりません。
カフェインの中毒量の目安
・インスタントコーヒー粉末:約25g
・コーヒー豆:約900g
・コーラ:約60ml
・エナジードリンク:約37ml
・茶葉:約55g
※体重1㎏あたり
5kgのワンちゃんに換算すると、
・インスタントコーヒー粉末125g
・コーヒー豆4.5kg
・コーラ300ml
・エナジードリンク185ml
で、ようやく何かしらの症状が出る計算となります。
コーヒーについては、ドリップのものであれば、まず気にしなくて大丈夫です。
インスタントコーヒーも1回の使用量は約2gくらいなので、「ミルクとか砂糖とか、沢山入っていて沢山飲んでしまいました」という場合でも特に問題ないです。
なので、コーヒーとかカフェインを含む飲み物については飲まないに越したことはありませんが、誤って少し飲んだとしても問題ないので、粉末状態や固形状態のものをこぼさないように注意しましょう。
カフェインに関して、本当に注意しなければならないのは「茶葉」になります。
中毒を起こす茶葉の量は、体重1㎏あたり約55gです。
小型犬でも盗み食いの癖があるような子は200gくらいバクバクっと食べちゃったりします。
茶葉を大量に食べた場合、数時間で心肺停止となることもあり、本当に危険なので、わんちゃんの届かないところで必ず保管しましょう。
④マカダミアナッツ
マカダミアナッツは、毒性に関してはっきり判明してはいないですが、発熱や震え、嘔吐、ふらつきなどが見られることで知られています。
これまでの研究で体重1㎏あたり2.4g(およそ1粒)で中毒量に達することが分かっていますが、消化吸収に時間がかかるため、すぐに吐かせれば症状が出るのを防ぐことができます。
発症までおおよそ12時間くらいといわれていますが、腸に流れてしまうと吐かせることができないので早めの対応が必要です。
何も処置をしなくても48時間くらいで症状は治まると言われてはいますが、ワンちゃんが苦しい思いをしてしまいますのでマカダミアナッツの入ったお菓子はワンちゃんが触れない確実な場所に片付けましょう!
⑤ぶどう
ぶどうは大量に食べることで中毒を起こすことがあると言われますが、個体差が大きく良く分かっていません。
皮を沢山食べると中毒になるという報告もあるので、ぶどうを食べ終わったあとの皮を放置する、レーズンをワンちゃんに与えるなどの行動はやめましょう!
⑥アボカド
アボカドには「ペルシン」という物質が入っていて、犬が食べると胃腸を刺激して下痢・嘔吐などの症状が出ると言われています。
ただ、こちらもかなり個体差が大きく、どれくらいで症状が出るのかは良く分かっていません。
少量食べさせても大丈夫とする書籍などもありますが、中毒になる危険があるものを敢えて与える必要はないので注意しましょう。
⑦アルコール類
「お酒」は絶対に与えてはいけないものですね!
犬には、アルコールを分解する酵素がほとんどありません。
少量でもふらつき、嘔吐、呼吸が弱くなる、意識障害などの症状が出ることがありますので、絶対に与えないようにしましょう。
あげるつもりがなくても、お酒を飲んだあとに酔っぱらって、「あとで片づけるからいいや」と缶やコップを放置しておいたら舐めてしまった、ということもあります。
どんなに酔っぱらっていても、お酒だけは、ワンちゃんの届かないところに運んでください。
⑧キシリトール
キシリトールは犬に毒性を示します。
症状として、低血糖を起こし、ぐったりとなってしまう、など
他にも肝障害が見られることが報告されています。
中毒量はキシリトールの含有量によりますが、だいたい体重1㎏あたり1/2~1個で症状が出ます。
早いと30分くらいで何か症状が出ますが、吸収に時間がかかることもあり12~18時間後に症状が出ることもあるので、油断は禁物です。
⑨塩
「塩なんて大量に食べないでしょ?」と思われるかもしれませんが、オリーブの塩漬けやアンチョビなど塩蔵食品オリーブと呼ばれるものを盗み食いしたときに起こることがあります。
症状としては、嘔吐、下痢、震え、ぐったりするなどが見られます。
中毒量ですが、体重1㎏あたり4g、塩漬けのオリーブなら約10粒くらいです。
⑩生肉
最後は「生肉」になります。
生肉自体は基本的に食べても問題ありません。犬は本来肉食に近い雑食ですので、消化できます。
しかし「生肉」について注意しなくてはならないのは中毒性ではなく、寄生虫や細菌による食中毒の原因で注意が必要です。
生肉は、獣医師の中でも「生肉を食べさせてもいい」という人もいますが、食肉検査を行っていたこともある獣医師として、犬に生肉を与えることには基本的に反対しています。
【基本】与えてはいけないケース(鳥、豚、牛肉)
スーパーで売られている生食用でない鶏、豚、牛肉には、細菌や寄生虫がいることが結構あります。
寄生虫については、大きいものであれば検査したときに分かりますが、筋肉中に含まれている肉眼では分からないようなものまでは分かりません。
細菌についても同じで、「細菌による病気にかかっているかどうか」は検査して病気の肉は出回らないようにしますが、「どんな細菌がついているか」までは分かりません。
鶏肉は「カンピロバクター」という細菌がついていることが多く(人間の鳥刺しでもよく食中毒がおきています)、豚肉は「トキソプラズマ」という寄生虫が2割くらいの豚肉で見られるというデータもあります。
牛肉についても同様に、腸管出血性大腸菌などの細菌がついている可能性があることから生食できる部位が限定されて、人間が食べる場合でも冷凍処理など条件がいくつかあります。
なので、こういったお肉を生で与えるのは控える方が良いでしょう。
【例外】与えも良いケース(馬肉などの生食用)
馬肉など「生食用の肉」が該当し、馬肉は桜肉と呼ばれて馬刺しで出されることもあるくらい、食品として衛生管理がきちんとされています。
こうした馬肉を含む「人間の生食用」として販売されているものについては、生で食べさせても良いと思います。
「犬は本来生肉を食べていて、人間より感染症に強い」と言われることもありますが、とは言え家庭犬の食事で加熱して与えれば安心なものをわざわざリスクを冒して生で与える必要はないと思いますので、衛生面が確実に保証できないのであれば生肉を与えるのは控えましょう。
まとめ
飼い主様によっては初めて聞く食材もあったのではないでしょうか?
もしこうした食材を万が一口にしてしまったら、液体の飲み物については、よほど大量に摂取してしまった状態でなければ様子をみていて良いと思いますが、少量で中毒症状が出るものや「どれくらい食べたか分からない」という場合には、すぐに動物病院を受診しましょう。
中毒は時間が勝負です。少しでも心配だと思ったら、まずは動物病院に連絡をしてください。