ダントツ人気の犬種トイプードル。ふわふわした被毛で可愛らしい姿が魅力ですよね。
そんなかわいいトイプードルのために、食事にも気を配っている飼い主さんも多く、情報を集めてとても熱心に勉強されています。
しかし、ネットには根拠のない情報も溢れていて、どれを信じたらよいのか分からず不安になってしまうことも多いのではないでしょうか?
この記事では、専門的な知識をもつ獣医師が、トイプードルの特徴に着目しながらフード選びのポイントについて解説していきます。最後まで読んでいただければ、「本当にうちの子に合うフード」が見えてくるはずです。
トイプードル用のフードは必要ない?
トイプードルは人気犬種のためか、トイプードル専用ごはんであったり、トイプードルには○○のごはんが良い!という記事をみることがあります。
しかし、私の結論から言ってしまうと
「トイプードルにこのフードが絶対おすすめ!」
ということはありません。
確かに犬種による特徴や多い病気は存在するので、トイプードルに起きやすい悩みをケアする成分がはいっていたり、食べやすい粒の形状をしているというメリットはあります。
そういったごはんが愛犬の体質に合えばまったく問題ないのですが、必ずしもすべてのトイプードルに合うわけではありません。
実際に「専用」のごはんという理由で体質に合わないのにフードを続けてしまうケースがとても多いので注意してください。
専用フードが不要な3つの理由
トイプードル専用フードが不要な理由を3点あげました。
①犬種別に必要な栄養素はわかっていない
②犬種特有の病気はフードでの予防は難しい
③専用フードと全犬種向けフードの違いがあまりない
順に説明していきます。
犬種別に必要な栄養素はわかっていない
フードと水だけで必要な栄養が摂れるドッグフードを「総合栄養食」と言いますが、総合栄養食であることを記載するためには、世界的な基準であるAAFCOの栄養基準を満たす必要があります。
このAAFCOの基準値の区分は、
①動物種(犬とか猫とかですね)
②犬の中での分類としては「成長・繁殖」と「成犬」
に分けられます。
つまり、年齢(仔犬)とライフステージ(繁殖)でのみ基準がわかれており、犬種別に必要な栄養素の基準の違いというのはわかりません。
そうはいっても、「犬種によって栄養素の必要量に差があるのでは?」という意見もあるかと思います。
確かに、犬種によって、大きさや活動量も異なるので、私自身も犬種別に必要な栄養素の量に差があると思います。
しかし、獣医師の立場としては、基準値がわからない以上、犬種別のフードの優劣をつけるのは難しいと判断しています。
犬種別の栄養素に関して、ロイヤルカナン社のような大きな会社では研究データがあるかもしれないので多少信頼度はあがるかも。D2Cでつくられるような商品があまり根拠はない気がしています。
犬種特有の病気はフードでの予防は難しい
上記で「犬種別に必要な栄養素はわかっていない」とお伝えしましたが、栄養素の量以外にも
- 犬種によってなりやすい病気があるから栄養素にも気を付けなければならないのでは?
という意見もあると思います。
確かに、犬種によってなりやすい病気というのはあります。
トイプードルがなりやすい病気
1位:骨折
2位:涙焼け
3位:白内障
4位:歯周病
5位:胆泥症(たんでいしょう)
※通院理由として多いものだそうです。
1位の骨折は、ソファーやテーブルからジャンプして起こることが大半です。3位の白内障は、今のところ食事で予防出来るという科学的なデータはありません。4位の歯周病の予防で大切なのは、歯磨きなど、食べた後の歯のケアですし、5位の胆泥症については、「低脂肪のフード」が良いとされるものの、それを証明するデータはありません。
2位の「涙焼け」については、あたかも「フードで涙焼けが治る」かのように宣伝するフードも見かけますが、ほとんどは遺伝的な目の構造によるものです。
涙やけとフードの関係については「涙やけはドッグフードでは治らない?原因と予防、対処法を獣医師が解説」にて詳しく解説しております。
もちろん、栄養素が偏った食事は犬種に限らず体に良くないですし、「結石用療法食」など、現在抱える病気に合わせたフード選びは必要ですが、犬種特有の病気をフードで予防することは難しいといえるでしょう。
専用フードと全犬種向けフードの違いがあまりない
トイプードルの飼い主さんがドッグフード選びをするときに
・全犬種向け
・小型犬向け
・室内飼い向け
・トイプードル専用
といった商品が選択肢にあげられるのではと思います。
ドッグフードを100種類以上調査した結果、そもそもトイプードル専用フードだからと言って特別な仕様で作られているわけではない。ということがわかりました。
というのも国内向けのドッグフードでは、頭数の関係から基本的に小型の室内犬をターゲットにしているからではと考えています
そのため、全犬種向けのフードや小型犬、室内飼い犬用のフードであっても同じような仕様になっているため、トイプードル専用フードはとりわけ必要がありません。
結局どんなフードを与えればいいの?
トイプードルに限らず、フード選びは、運動量や食の好み、体質、健康状態など「うちの子」に合わせて選ぶべきです。
同じトイプードルでも、性格や食の好み、体質は異なります。
一般的に「トイプードルは運動好き」と言われますが、あくまで平均的な話であり、運動があまり好きでない子もいます。
散歩の時間などは、飼い主さんのライフスタイルによっても異なります。
運動量が個々で違うにもかかわらず、「トイプードルは運動量が多いから、絶対に高タンパク質のものを与えるべき」と一律同じものを与えてしまうと、消化不良に繋がることもあります。
ここからはトイプードルのフード選びについてご説明いたします。
【超基本】ドッグフードの選び方
「犬種で選ばずに、個々に合わせて」と言われても何を基準に選べば良いのか悩んでしまいますよね。
そこで、まずは、絶対に押さえるべきフード選び方の基本を2つお話します。
まずは、しっかり基本を確認していきましょう。
よく食べるフード
いくら素晴らしい栄養素が入っていても、食べてくれなければ意味がありません。
「食べないのはわがままなので、食べなければ器を下げることを繰り返しなさい」というネット記事をよく見かけますが、これはおすすめ出来ない方法です。
食べない場合、温めたり、トッピングをしたりすることで喜んで食べることもあるので、そうした工夫をしてみるのは良いと思います。
しかし、色々と試しても食べないなら、好みでないことが考えられます。
それを「栄養があるから食べなさい」と無理矢理食べさせるのはワンちゃんにとってストレスになります。
私たちだって、「無理をすれば食べられるけれど、嫌いな食べ物」を毎日食べるのは嫌ですよね。食事はワンちゃんの楽しみの一つです。
嫌いなフードを与え続けるのは、生活の質を低下させることになりますし、飼い主さんとの関係が崩れてしまうこともあるのでやめましょう。
便の状態が良いフード
「良く食べること」と同じくらい大切なのが、「便の状態が良いこと」です。
いくら成分的に良いと言われても、消化不良では栄養が充分に吸収できません。軟便・下痢になってしまう場合、食物アレルギーの可能性もあり、身体への影響が心配です。
また、便秘になってしまう場合も、「イライラして攻撃性が増す」などワンちゃんの生活の質が落ちるばかりか、飼い主さんの生活にも支障をきたしてしまうこともあります。
「便の状態が良いフードを選ぶこと」は「良く食べること」とともにフード選びの絶対条件です。
便の状態が良いということは、きちんと消化されているということです。
トイプードルに良いフードとは?
「よく食べるフード」「便の状態が良いフード」が大原則ですが、その条件をクリアしていれば、トイプードルの特徴を踏まえたフードを選ぶのも良いと思います。
ここでは、トイプードルに良いフードの選び方を3つご紹介します。
こちらは、フード選びの応用編と考えてくださいね。
トイプードルに良いフード①
良質なタンパク質を多く含むフード
一般的に活動量が多いトイプードルには、タンパク質の含有量多めのフードがおすすめです。
被毛の状態を良くするためにも、毛の原料となるタンパク質は欠かせません。
また、消化という観点を考えると、植物性タンパク質のものよりも動物性タンパク質が主原料のものがおすすめです。
そのため、タンパク質が多め、かつ主原料が動物性タンパク質のものを選ぶと良いでしょう。
家庭犬で近所をお散歩する程度のワンちゃんの場合、高タンパク質過ぎるフードは消化不良に繋がることがあり、注意が必要です。海外のフード等でタンパク質が乾物量で35%を超えるようなフードは、よほど運動量の多いワンちゃんでない限り避けた方が良いかもしれません。
乾物量の計算はこちらの記事も参考にしてください。
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脂質少な目のフード
活動量が多いとはいえ、家庭犬の場合、脂質の摂り過ぎは、肥満に繋がります。
健康な子であれば、過度に脂質を気にする必要はありませんが、乾物量で脂質20%を超えるフードを主食にするのは避けた方が良いかもしれません。
脂質の多過ぎるフードもタンパク質と同様、消化不良の原因となります。
オメガ3系不飽和脂肪酸(EPA・DHA)を含むフード
毛並みの良さを保つためには、充分なタンパク質とともに、皮膚の健康を保つ良質な油が必要です。
犬では、必須脂肪酸であるオメガ6脂肪酸及びオメガ3脂肪酸が必要ですが、特にオメガ3系不飽和脂肪酸(EPA・DHA)は炎症を抑える効果があり、皮膚の健康を保つのに役立ちます。
皮膚のバリア機能を高めるためには、オメガ6とオメガ3の比率が大切とする研究論文もありますが、オメガ6:オメガ3=1:1、1:2、5:1が良いなど、文献によりどんな比率が良いかについては意見が分かれています。また、比率に関係なく、オメガ3の絶対量を増やすのが良いとする説もあります。
オメガ6脂肪酸は多くのドッグフードに含まれますが、オメガ3脂肪酸を含むフードは限られているので、被毛のことを考えて選ぶ場合には、比率は気にせず、オメガ3を含むものを選ぶのが良いと思います。
トイプードルにおすすめフード3選
これからご紹介するフードは、適度なタンパク質を含み、脂質が控えめで、オメガ3を含むフードです。
味や粒の形など、ワンちゃんの好みに合わせて選んであげてくださいね。
フィッシュ4ドッグ トイブリード 1.5kg(超小粒)
タンパク質25%(乾物量27.8%)で、動物性タンパク質を豊富に含むフードです。サーモンを主原料としたフードで肉類を含まないため、肉アレルギーや肉の味があまり好きでない子でも食べることができます。
脂質14%(乾物量15.5%)であり、ホームページ上には高脂肪との記載がありますが、健康で活発なワンちゃんであれば、特に気にする必要はないと思います。不飽和脂肪酸についても豊富に含まれており、オメガ6脂肪酸を3.85%(乾物量4.28%)、オメガ3脂肪酸を1.8%(乾物量2.0%)含み比率にもこだわっています(比率約2:1)。
犬猫生活オールステージ用
タンパク質量28.0%(乾物量31.1%)であり、充分なタンパク質を摂取することができます。脂質も10%(乾物量11.1%)と控えめなため、肥満気味の子やお腹の調子を崩しがちな子でも安心して与えることができます。
原材料には動物性タンパク質(牛肉、鶏肉、魚)を使用し、オメガ3脂肪酸を含むフードとなっています。産地も材料ごとに記載されていて安心ですね。
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国産ドッグフード ZEN プレミアムドッグ グレインフリー フィッシュ 小粒
主原料にタラを使用した国産フードです。
タンパク質27%(乾物量30.3%)と高タンパク質、脂質7.8%(乾物量8.43%)と低脂肪のフードです。
オメガ3脂肪酸の含有率も2.0%と非常に多いフードです。
ドライフードにはトッピングがおすすめ?
本サイトでは、より愛犬に健康的な食事を与えたいという方に向けて、ドライフードにウェットフードやフレッシュフードのトッピングをおすすめしています。
トッピングのメリットとしては、水分摂取量が増え、膀胱炎や結石予防になること、食いつきの改善が挙げられます。
下の記事でトッピングのメリットについて詳しく解説しているので、ご一読ください。
おすすめのフレッシュフード
PETOKOTO FOODS
PETOKOTO FOODS(ペトコトフード)は、国産食材をメインに栄養学を専門とした獣医師がレシピを開発したドッグフードです。
素材、栄養ともに申し分ないクオリティのウェットフードといえるでしょう。
種類もチキン、ビーフ、ポーク、フィッシュの4種類があり、ワンちゃんの好みに合わせて選ぶことができます。
PETOKOTO FOODS(ペトコトフード)について詳しい調査記事はコチラ
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まとめ
トイプードルのフードについて解説してきましたがいかがだったでしょうか?
トイプードル専門のフードは必要なく、うちの子にあったフード選びをする必要があることが分かったかと思います。
すべたのわんちゃんに必要な【超基本】なフードの選び方についてもご紹介したので、ぜひ本当にうちの子に合うフード選びの参考にしてください。